チリに来てから早4か月。
とうとう仕事をすることになった。
無職の期間は、去年の10月末で日本で仕事を辞めて、今に至るわけだから、10か月間ほどになる。
やっぱり人間は一生懸命働いてお金を稼いで、ほんのちょっと遊んでいく人生なんだなと思った。
真面目にしっかり汗水流して働いて、生きていくための金を稼ぎ、残ったお金で好きなことにお金を使う。
当たり前だけどこれをやっていかなければならないんだと再認識した。
あと、約4か月間旅をしてきて思ったことはもう旅は当分御免被る。
村上春樹の紀行文にも書いてあったけど、「旅は疲れるものだ」というのは本当で、
楽しいとか、勉強になるとかよりも先に疲れる。
安い旅は必然的に相部屋となるから、心休まる空間は皆無だし、常に社交的でないといけないし、ご飯は口に合わないし、で体力的には相当きつい。
ただ、日本で仕事をしていた時の、毎日なんとなく惰性で生きている感覚は全くなく、
まさに【生】を実感して生きている感じだから、毎日が刺激的だった。
だけどもう疲れた。
しっかり腰を据えて、働いて、自分の家をもつ生活がしたいと思うようになった。
だからサンティアゴに帰ってきた。
就職先は日本料理屋さんだ。
たまたまできたご縁で、チリと日本のご両親を持つ人に雇っていただけた。(イニエスタに似てる40歳でスペイン語日本語どちらも堪能。以下イニエスタ)
初日はもちろんすごく緊張した。
お店で唯一日本語が話せるイニエスタはまさかの不在であった。(最初に言っていた話と違うじゃないか!!)
スペイン語でいろいろ仕事のレクチャーを受けたけど、さっぱりわからないし、
初めての職場だから色々と気を使うしで、初日は本当に滅茶苦茶疲れた。
2日目からイニエスタが色々と教えてくれたからよかったけど、このままスペイン語で仕事を教わっていたかと思うと、ゾッとする。
そんな俺の職務はまさかの寿司職人である。
チリに来て寿司を握っているというとんでもない状況にいる。
新卒で入った日本の大手ホテル会社を30手前にして退職して、チリという日本人からすると馴染みのない土地に来て、日本でもやったことのない寿司を握っているとはなんとも不思議な話だ。
しかも寿司の握り方を教えてくれるのは、タトゥーだらけのチリ人ギャルだ。
寿司なんて握ったことなかったから、「日本人なのに寿司の作り方を知らない」と思われてそうでちょっとした屈辱感もある。
メキシコ人に日本人がタコスの作り方を教えているような滑稽な状況にいる。
イタリア人に日本人がピザの焼き方を教えているようなものである。
韓国人に日本人がキムチの漬け方を教えているようなものである。
トルコ人に日本人がトルコ風アイスの屋台のあの腹の立つアイスを渡す渡さないのパフォーマンスを伝授するようなものである。
しかしあくまでも俺の目的は、【チリでチリ人に囲まれて仕事をする】ことだから、業務内容は全く度外視でいいのだ。
寿司の握り方を毎日勉強しながら、チリ人の働き方を観察しようと思う。