【納豆3パック入り1000円】が示す悲しい未来

俺は納豆ご飯が大好きだ。

「好きな食べ物は」と聞かれれば、必ずいの一番に、納豆と答える。

しかも2位以下の食べ物と大きく差をつけてダントツで好きだ。(ちなみに2位はカレーライス3位はチキン南蛮4位はタコライス。全部自分で作れるリーズナブルなメニューだ。)
≪余談だが少し前に、「好きな食べ物は?のようなよく聞かれる質問にすぐに答えられない男はつまらない」という言葉を何かの本で読んでから、自分の好きな食べ物は何か考えて用意している。≫

納豆ご飯なら毎日食べられる。

実際に日本にいたとき俺はほとんど毎日食べていた。

これは非常に情けない節約術で門外不出なのだけれど、

友達と寿司や、焼き肉などの外食をするときはいつも腹7分目ほどで敢えて止めて、

帰宅後に納豆ご飯を食べて、満腹にしていた。

これだけで、下手したら1000円くらい浮く。

母親に聞いてもどうやら俺が物心つく前から、好んで納豆ご飯を食べていたらしい。

俺が思うに納豆の最大の長所は、ご飯のお供と呼ばれるものは、

ほぼほぼ相性が良く、色々な組み合わせを楽しむことが可能ということだと思う。(まさに無限大!)

特に俺が好きな組み合わせは、

納豆ご飯、冷凍のハッシュドポテト、ソーセージ、目玉焼き、豆腐(絹ごし)。飲み物は牛乳(牛乳も納豆に合う)

それらすべてをぐちゃぐちゃに混ぜて食べる

社会人時代の休みの日の朝は毎回これを作って食べていた。(+みそ汁も)

と、ここまで言えば俺の納豆愛はお判りいただけただろう。

しかしながら、

チリには当然のことながら、その辺のスーパーに、おかめ納豆は売っていない。
【ちなみに言い忘れていたが、俺は納豆は断然中粒派である。小粒なんて遠の昔に卒業した。
ちなみにちなみに、中粒は小粒に比べて少し高いのが玉に瑕】

ちょっと遠くの中国人が経営しているアジアマーケットに行って、やっと売っている。

しかも毎回納豆が売ってあるとは限らない。

輸入品を扱うお店のため、運よく輸入されているタイミングに出くわすことが出来れば入手できるという幻の一品なのだ。

このように、納豆を入手することは、日本にいるときには到底考えられない難易度だ。

そして一番の問題点は、その苦労して苦労してやっと見つけた納豆の値段が高すぎるということだ。

【頑固おやじの小粒納豆】という日本では聞いたこともない謎の冷凍納豆の値段は3パック入りで1000円であった。

冷凍品であるとか、小粒であるとか、商品名が胡散臭いとかはこの際どうでもいい。

そんなことよりも、この値段では毎日食べることは不可能である。

日本の約10倍の値段設定だなんて、納豆ごときがちょっとした高級食材ではないか!

毎日当然のごとく食していた俺にとってはまさに青天の霹靂である。

納豆ご飯がないことは、チリに行く前からわかっていたことだったし、

おそらくそれが、海外生活において一番の壁であることも重々承知をしていたのだが、

やはり現実を突きつけられるかの如く、

【納豆3パック1000円】という

動かされざる事実を前にすると、

『南米に永住する』という夢は諦めるほかないのだ。

「納豆が売っているだけありがたいじゃないか」と素人は言うだろう。

はっきり言って愚問である。

「うるさい」

この一言で全てを済ますことができよう。

もはやそういう次元の話ではないのだ。

まあ結局、奇跡的にアジアマーケットで見つかった冷凍納豆を2つ(6パック)購入した。

お値段なんと2000円也!

あまりに高く、貴重な納豆は、特別な日にのみ食べることに決めた。

誕生日とか、嬉しいことがあったときとか、マジで凹んでこのまま日本に帰ったろうかと思うときとか。

まさか納豆ごときをショートケーキのような感覚で食べるとは思ってもみなかった。

これもチリに来たからこそ経験できることなのかもしれない。

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